考えよう。【長文です^^】

 

この日、ホストのヤマトさんに紹介していただき、フィンランドの小学校で学習支援として勤められているユキさんにお話を伺うことができた。

数時間と短い時間ではあったけど、生の声を詳しく知ることができ、すごく貴重なお話を聞かせていただいた。

お忙しい中時間を作っていただき、ここに御礼申し上げたいと思います。

 

 

質問をいくつかまとめたので、興味のある人はどうぞ♪

 

 

①フィンランドの小学校で、ここが凄いなと思ったところ。(教育方法、環境、何でも)

 

教師の裁量によって自分でクラスのことを何でも決めることが出来る。

時間割の変更や学習計画等、そのクラスの担任が全て自由に操ることができるんだそう。型にはめられ束縛された学級経営を見直し、柔軟に自分のやりたい授業、クラス作りができるというわけ。ただ、これだけ自由が利くということはそれだけ教師の力量が必要になってくる。だからフィンランドの教師は大学生活の4年だけでなく、もう2年、大学院でさらに腕を磨き、修士資格を必要とされる。


カウンセラーがいる。

フィンランドの小学校では各学校に専門のカウンセラーがいることが常識となっている。クラスになじめない子や家庭に問題のある子、小さな問題であっても相談に乗ってくれる専門家が存在する。日本では、これに位置するのがおそらく保健室の先生ではないかなって思う。自分が小学生の頃も治療するほどでもない些細な怪我でも、ただ保健の先生と話がしたいがためによく保健室へ遊びに行っていた。そんな子どもの味方というか、心の拠り所があると悩みが癒されることがある。

 

教師は必ず手は出さない。(非暴力)

今となっては特別驚くことはないけど、昔は教師の暴力が日常茶飯事のように行われていたように思う。ただ、これについても賛否両論が広がり、「愛のある暴力」は許されるという風潮はまだ残っている。自分の意見としては、賛成でもあるし反対でもあるという中途半端なところ。たとえ教師が暴力をふるっても、生徒から慕われる教師はたくさんいると思う。親が反対してもその教師を子どもが認めればそれで良いんじゃないかとも思う。つまり、必要な暴力も子どもを教育する上で存在するのではないかと。ただ、一番良いのは口で子どもを教育できればそれに越したことはない。

 

子どもに何か起こったとき、教師、校長、カウンセラー等と共有してチームとして問題に取り組む。

フィンランドの小学校で面白いなと思ったのは、地域と学校が相互扶助の形で協力し合っているところである。まず、教師の仕事ではない部分、例えば図書館の管理、各教室の施錠、警備作業は地域のボランティアで補填している。日本の小学校では授業や学級経営の他に会議やイベント等の担当に加え、子どもの突発的な問題に放課後であってもかけつける必要があり、仕事は山のようにある。最近ではそれに加えて「子どものしつけ」まで強要される。本来の教師の仕事である「教える」ということに関して研究する時間の余地が全くない。そこを北欧の小学校は地域が協力し、ボランティアで補填、教師は教えることに専念することができるんだそう。

A君に問題があったとき、その問題を教師だけでなく学校全体がが解決に取り組むという理想の形を実現している。

 

②フィンランドの教育について

 

学力よりも社会性を重視!(自分一人でできる、協力、助け合い) 

やり遂げたことが評価される。「どれだけできたか」という結果は評価されない。

 

③遊ぶことが子どもの目的。遊ばせて学びを得る。

 

日本の小学校では学び=勉強という図式が、教える立場にある親や教師だけでなく子ども自身も気付いていることだと思う。学力を上げるためには勉強しなければならない。勉強するということは机で黙々と先生の話を聞く必要がある。そして帰宅しても塾へ行かばければならない。

 

はっきり言って、異常である。人間は何のために生まれてきたのか。もし僕が親ならこんなことをさせるなら子どもは作らない。確かに勉強は大切である。時には机に向かって必死になることも必要だと思う。ただ、やりたくないことに向かってさせることは絶対に良くない。目的が分からないままに勉強させるのは、それだけで子どもの人生を無駄にしている。

 

こんなことを言っても、結局は今の日本社会で勉強は不可欠な問題。やりたくないこともこなしていかなければならない。ここをフィンランドは工夫し、イヤなことも遊ばせて学ぶ勉強方法を採った。今の日本教育でもゲームやPC等の近代機器を活用した教育も導入されている。

 

言いたいのは、何がやりたいのかわからんまま育っていくのはあまりにも勿体ない。自分のやりたい分野をどんどん築き上げることができないと、子どもは「落ちこぼれ」というレッテルを貼られ、いつまでも個性の無い国へと進んで行くような気がする。。

 

 ④毎週金曜日にお菓子を家から持ってきて、この1週間でイヤなことや良かったこと等話す時間がある。

 

これは自分自身も一度やってみたいと思った。味噌なのが「金曜日」「お菓子」。次の日が休みということ、目の前にお菓子があるということで子どもは開放的な気分になる。そこで1週間であった出来事の話し合いをさせれば、抑えていた感情も和らいでいくんじゃないかと思う。許せないことがあったとしても、それが月曜日の朝と金曜日の午後の時間に話すとすれば、話すときの気持ちは変わってくるだろう。子どもの心理を活かしたとても画期的な発想だと思う。

 

 

以上、ユキさんにお話を伺った内容。

この中で印象的だったのが②の結果ではなく過程を評価するということ。フィンランドのある幼稚園では、パジャマを逆に着ていてもそのまま家に帰すときがあるそう。それで親からの苦情があっても説明すると納得してもらえる。日本では考えられないことだと思うし、結果ばかり求めてそれを評価するのではその子を見ていないことにもなる。50m走を例にとっても、最後まで全力で走り終えることが重要で、早く走ることを評価するのは不公平なのかもしれない。

 

 

近年日本でも注目をあびている「PISA」とは何なのか。

Wikipediaを参照すると「経済協力開発機構 (OECD) による国際的な生徒の学習到達度調査」と記載されているけど、まさにその通り。


OECD(経済協力開発機構)のPISA調査は、日本で言えば高校1年生を対象としたテストで、2003年度では41カ国の参加があった。「知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうかを評価」するもので、国際的な学力評価として日本でも「新しい学力」の方向として注目されてきた。

PISA調査とは、OECD(経済協力開発機構)が1988年よりはじめた事業である。OECDは、「経済成長」「開発途上国援助」及び「自由かつ多角的な貿易の拡大」といった国際的な経済協力を目的としている。

 

「PISA的学力」(学習到達度調査)の特徴は次の5項目で表現できる

①知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうかを評価。学校カリキュラムには関わらない。

②図表・グラフ・地図などを含む文章(「非連続型テキスト」という)が重視され、出題の約4割を占める。

③「選択式」を中心にしながらも「自由記述形式」の出題が約4割を占める。

④記述式では、答えを出すための「方法や考え方を説明する」ことが求められる。

⑤読解力として、「情報の取り出し」・「解釈・理解」・「熟考・判断」、そして自分の「意見を表現する」ことが求められる。テキストの「内容」だけでなく「構成や形式」についても問われる。

 

PISA型学力についてのノート参照。〕

 

以上がPISAについての簡単な概要である。

 

 

次に、PISA型学力に力を注ぐフィンランドの小学校で実際に行われている授業方法を紹介します^^

学生の頃にフィンランドの教育について色々と研究を重ねたけど、はっきり言って自分の中でも賛否両論がある。

まず、PISAという国際学力テストに関して、フィンランドは昔からこのテストに向けての勉強は行っていたわけで、フィンランドの教育自体がこのテスト向きになっており、上位を獲得できるのは当然であるということは言える。PISAの求める学力と日本の学力とは少し離れたもので、特に日本人の弱い読解力がPISAの三分野(科学、数学、読解力)のうちに含まれる。

日本人は本を読み、感想や考えを自由に記述することが苦手で、その文章を柔軟に考えることが難しいとされている。

 

 

では実際にどんな授業が行われているのか。〔フィンランドメソッドについて参照。〕

フィンランドでは、発想力・論理力・表現力・批判的思考力・コミュニケーション力を鍛えるための練習を、子供のときから(授業によっては8歳~)沢山やっている。

 

①【発想力を鍛える】【論理力を鍛える(頭の中に論理回路を作る)】

 

事例①カルタ(マインドマップやメモリーツリーとまったく同じ)を作る集団授業。

 

白板に大きくテーマを書き、(例えば『携帯電話』と書く)そのテーマについて、『いつ・どのように・どうして・どうなった』が分かるよう、みんなで、枝葉をどんどん記入していく。ストーリー(昔話など)も、カルタ(マインドマップ)にする。まず発想力を高めることで、分析力・創造力を養っていく。

 

事例②カルタを作る授業以外でもなんで?どうして?が連発される。母国語を外国語のように教える。

 

基礎的な事柄でも、どうして?と問いながら進め、原因と結果がみんなに分かるようにしている。(例えば、文法の授業でも『机が名詞なのは、なんで?』などを聞いている。)子供は答えられないことが多いが、気にせず、聞きつづける。これによって『意見には理由をつける』ことを学ぶ。

 

事例③【表現力を鍛える】

 

(例)一番短い作文を書けるのは、誰かな?

いくつかの単語から、作文をする授業。国語の教科書に採用されている。例えば『学校・友達・遊べる・先生・勉強できる・楽しい・つまらない・夏休み・会う』という15個の単語を黒板に書く。次に『これらの単語全部を使って、作文を書こう、一番短くかけるのは誰かな?』と聞き、すべての単語を関連付けた文を書かせる。これによって、言葉を自在に使いこなす練習になる。最小の文字数を指定することで、要約する力がつく。論理性があり、周到な論理を構築しても、それを的確に表現できなければ、相手に伝わらないことを学ぶ。

 

④【批判的思考力(論理力応用編・本当にそうかな?)・コミュニケーション力を鍛える】

 

(例)45人制の作文添削授業

 45人制で、作文の作成者を一人決め、その子が作った作文について、他の3人~4人が『いいところ』と『悪いところ』を10個づつ挙げ、修正していく。次に、他のグループと作文を交換して、さらに『いいところ』と『悪いところ』を挙げて、修正を重ねる。これをやると、とても小学生が書いたとは思えない、まとまった作文が完成する。最初は『悪いところ』だけ挙げていたが、そうすると授業が終わっても、延々議論が続くことになり、ケンカになることを学び、①『いいところ』も列挙し②『会議が終わったら、その話しはしない』こともルールに付け加えた。

 

(例2)45人制で、討論する授業

 誰か1人が班長となって進め議論に必要なルールや決まりごとを、子供たちで作っていく。例えば、【遠足に行く】というテーマで話し合うとき【そもそも、なんで遠足に行かなければならないのか?】といった議論はタブーであることを学び『それはルール違反だ』と発言できるようにする。(議論の前提を覆すような問いがあると、話しにならないことを経験させる。)もし、遠足に行きたくないのであれば、なぜ、そう思うのか?どうして?の問いかけを常に行う。相手の意見をまるごと否定したり、遮ったりするのはタブーで、常に最後まで聞く。その上で、相手がなぜそう思うのか?意見を言った理由を聞き出す。

自分発のなんで?ではなく、相手がなんでそう考えたのか?を考えられるよう育成する。

 

 

では一度PISAの問題に挑戦してもらいたいと思う。

これは平成17年に行われた実際の問題である。興味のある方は一度解いてもらいたい。

 

問題解決能力  問題例
mondaikaiketunou.pdf
PDFファイル 1.7 MB
科学的リテラシー 問題例
kagakutekiriterasi.pdf
PDFファイル 1.6 MB
数学的リテラシー 問題例
sugakuriterasi.pdf
PDFファイル 2.8 MB

 

以上、フィンランドの教育について肯定的に観てみた。

けど、フィンランドの教育全てを真似することなんか不可能でナンセンスであることはわかっている。以下の批判意見も参考にしてみたい。

 

【批判意見】

 

●教育のバックになる国の状態が全く日本とフィンランドで違う。日本はこれからますます格差が大きくなる競争社会に比べて、フィンランドは高福祉高負担の平等社会。 フィンランドのような平等に近い社会では競争というものがなく、そのような社会だから評価しないという制度が上手くいく。また資金面でも、フィンランドのような手厚い教育をしようとすると、一人当たりにかかる教育費の負担が大きくなる。ただでさえ国民の負担が増えているなか、その上に結構な額になる教育費の増税は難しい。その地域性の考え方や人口が少ないので大国にはできない政策が可能となる。

 

●フィンランド式の授業をするにはいくつか条件が必要だと思う。一つ目は、教室が声の通る広さであること。先生がマイクを使うような教室では、生徒の発表は教室にいる先生や他の生徒に聞こえない。それ以前に、自分と先生の距離が、明らかに声の届かない距離であるとき、発表することは困難になる。その結果、授業に参加できるのは、先生に声の届く前の方の席の生徒だけになってしまう。フィンランド式の授業は、自分の意見を発表し、他の生徒の意見を聞いて、それについてまた考えることに意味がある。

二つ目は、少人数学級であること。大人数をまとめ、全員に考えさせることは物理的に不可能である。また、先ほどもあげたが、人数が多くなるほど教室が広くなくてはならなくなる。実際フィンランドは少人数学級を徹底している。一学級の人数は28~32人が理想とされている。35人を超えると2クラスに分けられる。日本では一学級40人というのが標準である。このことから分かるように、日本の学級形態では、フィンランド式授業をすることは不可能であり、かえって逆効果になりかねない。条件を満たす環境を作らない限り、フィンランド式授業をしても意味がないのである。今は、それぞれの状況・環境にあった授業形式をとることが好ましいように思える。

 

●フィンランド式授業で特徴的なことは、生徒が意欲的になるような授業だ。例えば、今日の天気が雨だった時、先生は「今日は雨が降っていますね。昨日は晴れていたの に、今日はなぜ雨が降るのかを授業で考えてゆきましょう」という感じで授業を展開してゆくそうだ。たしかにこの方法は生徒の関心をわかせるものだとは思うが、先生の負担が あまりに大きく授業の準備がものすごく大変で、毎回このような授業形式であると授業の準備ばかりに時間を費やす必要があるだろう。

また授業は生徒に考えさせ、意見を述べさせるといったものだ。この授業は生徒11人が自己主張をすることを学ぶことに関してはすばらしいと思うが、上手くこの授業を進行させるために先生はかなりの力量が必要であるだろう。そうなると限られたごく一部の人々しか教員になることしかできないだろう。すると当然(このような教育をおこなうことができる)学校の数は少なく学べる生 徒もかなり限られた者になるだろう。やはり、教育はその国の社会的背景や文化的なものなどにもかなり影響されがちである。その国にはその国なりに合った教育が存在するのではないかと思う。なので日 本でフィンランド式の授業をしても、上手くいかないのではないかと思う。

(上の二つの意見は以下の論文より引用したものである。)

学力の国際比較に異議あり
igi-ari-1.pdf
PDFファイル 1.9 MB

 

上記の批判からみてもわかるように、フィンランドの人口、国の規模から見ても、日本と比べること自体が無意味なのかもしれない。

ただ、見習う点はたくさんあると思う。まずフィンランドメソッドと呼ばれる学習法も子どもは楽しんで、新鮮な形で理解を進めることができるだろう。前にも述べた「遊んで学ぶ」典型例だと思う。

また、教員養成に関しても優れている部分だと思う。日本の大学4年間が意味をなさないとは言わないけど、教育学部で教員を目指す人はご存知のとおり、最初の1年は一般教養、最後の1年は教員採用試験の勉強へと時間が遣われる。つまり、教育に向き合う時間は学生時代にたった2年しかない。簡単に教員免許を取得できる制度は廃止しないと、理想と違ったというちっぽけな理由で辞めてしまう人が増えてくる。

本当に教師として頑張りたいと志す者が自分の腕にさらに磨きをかけるために教育について学ぶ。それくらいの覚悟が生身の人間を扱う者として必要じゃないんかなって思う。安定や子ども好きだけでは続かないのが教師の現実、ある程度の残業や無給でも子どものために頑張れる見返りを求めない気持ちが不可欠とされる。それに社会のことを何にも知らずに教員になるというのは情報が盛んに飛び交う現在では「子どもの方が先生よりも知っている」という本来の教師の立場を見失う場面が多くあるかもしれない。つまり教師の威厳が無くなるわけで、昔のように教師が尊敬される立場を失うことにもなる。

もっともっと言うと、たった1ヶ月の教育実習で、教師になるか否かを考えるにはあまりにも短すぎる!最低でも半年はプロフェッショナルな職業に就く前の段階として必要なんじゃないかぁと・・・。

 

話は逸れたけど、僕自身の考えでは、フィンランド教育の良い部分はどんどん盗んで、授業や学校生活に活かせれば良いのではないかと思う。カルタ式の学習法はなかなか面白いかもしれない。

今世界を放浪中で、現在(4月24日)はトルコのトラブゾンというイラン大使館がある都市に滞在している。次のイランで旅へ出て33ヵ国目になる。これまででたくさんの出会いや学びがあり、教師になったときに活かせるんじゃないかと思うようなネタや教材も増えてきている。その自分の経験を子どもたちと共有し、一人でも世界を見てみたいと思う子がいれば嬉しく思う。世界を知れば自分の中で何かが変わり、日本での生き方に役立ててもらえるかもしれない。それは生きる力にもなるし、世界の素晴らしさは万国共通、どんな人間にでも感動を与えることができるパワーがあると思う。

その魅力をもっともっと知ってもらうために、これからもう少し、旅を続けたいと思う。

今後の予定はイランへ2週間滞在し、再びトルコへ帰り、ヨルダン、レバノン、イスラエル、エジプト、スーダンと中東からアフリカ大陸へと入って行く。

教師になる過程としていろんなことにチャレンジして、将来ばすばす活かしたいと思います^^

 

これぞ長文をお読みいただきありがとうございました☆

 

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コメント: 2
  • #1

    Sky Manager (木曜日, 26 4月 2012 00:39)

    よー調べたな
    ちょっと長すぎるw

  • #2

    tsuriboy (金曜日, 04 5月 2012 00:11)

    >しょう

    ^^